AIに仕事を渡す「指示文」の書き方|初心者でも結果が変わる型

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生成AIを開いて、最初に手が止まるのはモデルの性能ではありません。「何を打てば、仕事で使える文が返ってくるのか」です。短い一言で頼むと、それらしい文章は返ってきます。ただし宛先も長さも禁則も指定していないので、そのまま送るわけにはいきません。

指示文の核は4点です。何を/誰向けに/どの長さで/やってほしくないこと。才能の問題ではなく、渡し方の問題です。手順は3ステップ以内にまとめます。最初はAI1つ、無料の画面、固有名詞は空欄のまま練習してください。

前の記事では、個人の無料AIに機密を入れないこと、抽象化して後入れすることを書きました。ここでは悪い例とよい例を並べ、コピペで使える型まで用意しました。次の記事以降のメールと議事録は、この型の応用です。

この記事で分かること

  • 指示文の4点セット(何を/誰向けに/長さ/やってほしくないこと)
  • 悪い例「メール書いて」と、仕事に残る例の対比
  • 3ステップで書く手順
  • コピペして使える型(メール、要約、整え直し、話す順)
  • うまくいかないときの直し方

指示文は、依頼メールの件名と本文を短くしたもの

上司や外注に仕事を頼むとき、件名だけ「よろしく」では動きません。生成AIも同じです。相手はこちらの文脈を知りません。社内の空気、昨日の電話、相手の性格は、画面の向こうにはありません。人が口頭で省いている部分を、短い文字で補えばいいのです。

補うのは次の4点です。これ以上増やす必要はありません。

  1. 何をしてほしいか(下書き、要約、箇条書き、整え直し)
  2. 誰向けか(社内の同僚、上司、取引先、自分の確認用)
  3. どの長さか(5行、20行以内、結論3行)
  4. やってほしくないこと(数字を作らない、推測しない、固有名詞は空欄)

第1記事の「何を/誰向けに/どの長さで」に、禁則を足した形です。禁則がないと、AIは穴をそれらしい言葉で埋めます。報告書なら存在しない数字、議事録なら決まっていない決定、メールなら強すぎる催促です。「こういうのは書かないで」と先に言っておくと、直す時間が減ります。

トーンは4点の内側で足します。「短く丁寧」「感情語は使わない」「お詫びを先」など。トーンだけ長く書くより、誰向けかと長さを先に決めたほうが、結果は安定します。

悪い例とよい例:同じ「メール」でも結果が分かれる

悪い例の典型は、これです。

「メール書いて」

返ってくるのは、誰宛とも言えない丁寧な文章です。件名は長く、本文は挨拶が多く、次の行動がありません。仕事に使えないのは、モデルが弱いからではありません。依頼が空だからです。

少し足しても、まだ足りない例です。

「取引先へのお詫びメールを丁寧に書いて」

丁寧にはなります。ただし何を詫びるのか、相手に何をしてほしいのか、金額や日付を書いてよいのかが分かりません。個人の無料AIに実名と金額を入れたくなるのも、ここです。前の記事の線は崩さないでください。実名は後入れです。

よい例です。

「社外の取引先向け。目的は納期遅延のお詫びと、次の候補日の確認。トーンは短く丁寧。お詫びを先、理由は1行、相手が返信しやすい質問を最後に。社名・人名・日付・金額は空欄。5〜8行。催促や責任転嫁は書かない」

差は文章力ではありません。空欄の指定と、やってほしくないことです。これで、返ってきた文に日付を自分で入れる作業だけが残ります。ChatGPTでの短い下書き練習、GeminiのGmail周り、Claudeの長文、CopilotのMicrosoft環境、どれでも4点は共通です。最初の1つで型を覚えて、使い分けはその後で構いません。

悪い例をもう2つ

「いい感じにまとめて」は、議事録と報告書で特に危ないです。いい感じは、決まっていないことを決まったように見せます。代わりに「決定/宿題/保留に分けて。分からない担当は未記入。推測しない」と書きます。

「もっとプロらしく」も空です。プロの定義が共有されていません。「ですます調、1文は40字以内、結論を先、根拠は3点」のように、観察できる指定に落とします。

書き方は3ステップ以内

長い指示文を一発で書く必要はありません。次の3つだけで足ります。

  1. 動詞を決める(書いて/要約して/直して/分けて)
  2. 読者と長さを足す(上司向け、10行以内)
  3. 禁則を1〜2個足す(数字を作らない、固有名詞は空欄、推測しない)

これで仕事の8割は動きます。役割設定の長文、評価基準の表、複数ペルソナは、慣れてからで十分です。初心者が先に身につけるべきは、毎日同じ型を打てることです。

うまくいかないときは、才能を疑う前に4点のどれが欠けているかを見ます。宛先がない、長さがない、禁則がない。この3つで説明がつくことがほとんどです。モデルを変えるのは、同じ指示を10回以上回したあとです。第2記事の「2つ目を足すタイミング」と同じです。

コピペして使える型

次の枠をメモアプリに保存してください。カッコ内は自分の仕事に替えます。固有名詞は入れません。

1. メールの下書き

「宛先は(社内の同僚/上司/社外の担当)。目的は(日程再調整/依頼/お礼/お詫び)。トーンは短く丁寧。相手が次に取る行動が1つ分かる文にして。固有名詞と日付と金額は空欄のまま。全体を(6行)以内。(催促/責任転嫁/新しい約束)は書かない」

2. 長い文の要約

「次の文を、結論・理由・自分への影響の3点で要約して。各点は2行以内。入力にない数字は作らない。分からない影響は『要確認』。公開情報の範囲を超える断言はしない」

3. 自分が書いた文の整え直し

「次の文を、相手が次に何をすれば分かるかだけ残して短くして。ですます調。感情語は削る。意味は変えず、言葉だけ整える。固有名詞は入力どおり。入力にない条件は足さない」

4. 会議前の話す順

「読者は自分。目的は(週次報告/トラブル共有)。話す順を5項目。1項目は1行。数字は入力した値以外を作らない。最後に『確認したいこと』を1つ」

5. 長文の骨格(慣れてからClaude向け)

「次の資料メモを、上司向け報告書の骨格にして。先に結論3行、次に根拠、最後に来週やること。感情語は使わない。数字は入力値以外を作らない。分からない数字は『要確認』。全体を20行以内」

ChatGPTは短い下書きと練習、GeminiはGoogleの中、Claudeは長文、CopilotはOutlookやTeamsの現場、という第2記事の分け方はそのままです。型は共通で、置く場所だけ変えます。

返ってきたあとに、人がやること

指示文がうまく書けても、送信ボタンは人が押します。次の3つはAIに任せません。

  • 名前、日付、金額、社内用語の最終確認
  • 相手との関係性(初めてか、昨日も話したか)
  • 決まっていないことを、決まったように書いていないか

「そのまま送る」は、指示文の完成度とは別の失敗です。下書き係と決裁者は分けてください。直す時間がゼロになる使い方は、このシリーズでは目指しません。目指すのは、白い画面でゼロから考える量を減らすことです。

無料プランの回数制限で止まったら、指示を短くして再送します。有料は天井を上げるものであり、4点が無い依頼を賢くはしません。第3記事の課金判断と同じです。

よくある失敗

1つ目は、一回で完璧を求めようとすることです。返ってきた文に「3行短く。質問を最後に」と足せば足ります。会話は続きです。最初の指示に全部詰め込む必要はありません。

2つ目は、社内の生メールを悪い例のまま貼ることです。型が良くても、機密が乗っていれば前の記事の線を超えます。抽象化してから型を使います。

3つ目は、毎回違う言い回しを発明することです。同じ作業には同じ型です。メールならメールの枠、要約なら要約の枠。考える量を減らす本体は、ここにあります。

4つ目は、出力が気に入らないからといってモデルを次々変えることです。4点が欠けたまま変えても、空の依頼が移動するだけです。

よくある質問

指示文は長いほど良いですか

長くなくて構いません。4点が入っていれば数行で足ります。役割の長文は、同じ作業を繰り返してから足してください。

英語で書いたほうが良いですか

日本語の仕事は日本語で十分です。英語にすると、自分で直せない文が返りやすくなります。直せる言語で頼むのが会社員向きです。

同じ型を、ChatGPTとGeminiで使い回せますか

回せます。置く画面は、OutlookならCopilot、GmailならGemini、それ以外の短い下書きはChatGPT、長い資料はClaude、が目安です。型そのものは変えなくてよいです。

部下や同僚に、この型を共有してもよいですか

抽象化した型なら共有しやすいです。ただし、会社が生成AIを禁止しているなら、型の共有より規則が先です。許可の範囲で、固有名詞を抜いた例だけ渡してください。

まとめ:4点を渡し、才能の話にしない

AIに仕事を渡す指示文の核は、何を/誰向けに/どの長さで/やってほしくないことです。「メール書いて」では、相手も目的も分かりません。3ステップで動詞、読者と長さ、禁則を足します。固有名詞は空欄、数字は自分で入れます。使えないのは才能ではなく、渡し方です。

メモに残した型を、最初の1つのAIで10回使ってください。慣れたら、次は量が多くて効き目が出やすいメールに進みます。

次の記事では、メール作成をAIで時短する仕事術として、返信・お礼・調整文の型を具体的に書きます。指示文の4点が分かった人は、そちらで毎日の送信前に使ってください。

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